傷跡形成・ケロイド・肉芽腫
お肌の悩みとなる傷跡やケロイドを状態に合わせて改善

平らな傷跡
盛り上がった傷跡
やけど跡
ケロイド
etc
大阪・心斎橋のコムロ美容外科では、外傷・やけど・手術による傷跡に対し凹凸や色素沈着などの症状にあわせて最適な治療を行っています。
ケロイドとは? 傷あとが赤く盛り上がり、広がり続けていませんか?
けがや手術、ニキビ、ピアスなどが原因でできた傷あとが、治った後も赤くミミズ腫れのように盛り上がり、かゆみや痛みを伴うことはありませんか? もしかすると、それはケロイドかもしれません。

ケロイドの正体は「治りすぎた傷あと」
本来、皮膚に傷ができると、私たちの体はコラーゲンなどを作って傷を修復しようとします。しかし、何らかの原因でこの修復プロセスが過剰になってしまうことがあります。傷を治すための細胞が働きすぎて、コラーゲンを必要以上に作り続けてしまうのです。
その結果、傷あとが赤く硬く盛り上がり、元の傷の範囲を越えて周囲の正常な皮膚にまでじわじわと広がっていきます。これがケロイドの正体です。
ケロイドの主な特徴
- 見た目: 赤みが強く、表面がテカテカしている。
- 症状:強いかゆみや、服がこすれた時などに痛みを感じる(掻痒・疼痛)。
- 経過: 時間が経っても自然に治ることがなく、むしろ少しずつ大きくなることがある。
- できやすい場所: 胸、肩、上腕、お腹(帝王切開や腹部の手術痕など)、耳(ピアス穴)など、皮膚に緊張がかかりやすい場所にできやすい傾向があります。
当院の治療方針:注射と外科的治療を主軸とした傷跡改善
ケロイドや傷跡の治療には、内服薬、外用薬(テープ)、圧迫療法、レーザー治療、注射、外科的治療など、多岐にわたる選択肢があります。その中で、大阪のコムロ美容外科では「局所注射療法(ケナコルト注射)」と「外科的治療(切除縫合)」を治療の2大柱として据えています。
これらは、ケロイドや傷跡の根本的な問題である「過剰な炎症・増殖」と「組織の変形」に対し、豊富な症例経験に基づき、最も効果的かつ確実な改善を目指せる治療法だと考えているためです。
局所注射療法(ケナコルト注射)
ケロイドの「赤み」「盛り上がり」「かゆみ」「痛み」といった活発な症状を抑えるのに非常に効果的な治療です。
ステロイド(トリアムシノロン)を病変部に直接注射することで、線維芽細胞の過剰な働きと炎症を強力に抑え込み、ケロイドを平坦化させていきます。
ダウンタイムがほとんどなく、まず試していただきやすい治療です。デコルテのケロイドなど、注射への反応が良好な部位も多くあります。
外科的治療(切除縫合)
注射療法だけでは改善が難しい大きなケロイド、強いひきつれ(瘢痕拘縮)を起こしている傷跡、または耳のピアスケロイドのように形状を整えることが重要な場合に適しています。
ケロイド組織を根本から切除し、形成外科的な技術を用いて、傷にかかる緊張を最小限に抑えながら丁寧に縫合します。
これにより、再発のリスクを低減し、できるだけ目立たない「きれいな傷跡」へと治癒させていくことを目指します。
患者様お一人おひとりの傷跡の状態、できている場所、そしてご希望を丁寧にお伺いした上で、これらの治療を単独で、あるいはレーザー治療なども組み合わせて、最適な治療計画をご提案します。
耳にできるケロイド(ピアスのしこり・肉芽)
耳ケロイド(ピアスケロイド)は、特に耳にピアスを開けた後に発生しやすいトラブルです。 一般的に「ピアスのしこり」や「肉芽(にくげ)」と呼ばれる症状の多くが、実はこのケロイド(またはその前段階)です。
単なる腫れだと思って放置していると、ピアスホール周辺が赤く盛り上がったり、硬いしこりとなって大きくなっていきます。痛みやかゆみがある、赤黒く色素沈着しているなどの特徴があれば、それは肉芽やただのしこりではなく、治療が必要なケロイドの可能性があります。
以下の要因がケロイド形成に寄与すると考えられています。
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外的刺激や感染:
ピアスホールのケア不足や感染が、傷口の炎症を引き起こし、過剰な瘢痕形成のリスクを高めます。 -
遺伝的要因:
ケロイドの発生しやすさは個人差があり、家族歴のある人はリスクが高くなります。 -
耳の位置や大きな負荷:
特に耳たぶは柔らかい組織であるため、ピアスの位置や重さによって刺激を受けやすく、ケロイド形成につながることがあります。
ピアスケロイド治療の第一選択が「切除手術」である理由
ピアスの穴にできてしまった硬いしこり(ピアスケロイド)は、見た目や時折生じる痛み・かゆみで悩まれる方が多い症状です。
大阪のコムロ美容外科では、ピアスケロイドの治療は外科的手術を基本としています。他の部位のケロイドがステロイド治療を第一選択とするのに対して、どうして切除が第一選択なのか説明します。
1. 他の部位のケロイド:「手術=再発リスク」
一般的に、胸部や肩、腹部(帝王切開の跡など)にできる「ケロイド(真性ケロイド)」は、非常に再発しやすいという厄介な特徴があります。
これらの部位は皮膚の緊張(テンション)が強くかかるため、単純に手術で切除すると、その刺激で手術前よりもかえって大きく再発してしまうケースが少なくありません。
そのため、治療はステロイド注射や圧迫療法、放射線治療などを組み合わせ、慎重に行う必要があります。
2. ピアスケロイド:「手術しても再発しにくい」
一方、耳(特に耳たぶ)にできるピアスケロイドは、性質が異なります。
皮膚の緊張が少ない:耳たぶは、胸や肩と比べて皮膚の緊張がほとんどかからない部位です。
原因が異なる:ピアスの慢性的な刺激や、しこり内部の感染などが原因となっていることが多く、体幹のケロイドとは発生のメカニズムが異なる側面があります。
これらの理由から、ピアスケロイドは「切除手術を行った後の再発率が、他の部位のケロイドに比べて格段に低い」という決定的な違いがあります。
結論:だから「切除手術」が基本
ピアスケロイドは、原因となっている「しこりの芯(瘢痕組織)」が皮膚の中に明確に存在しています。またステロイドに対して反応が悪いという特徴もあります。
ピアスケロイドに関しては外科手術を行っても再発リスクが低いという特徴があるため、注射や薬で時間をかけて小さくするよりも、根本的な原因であるしこりの本体を外科的にしっかり取り除く「切除手術」が、最も確実で効果的な治療法として基本(第一選択)とされているのです。
ピアスケロイドの症例写真
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Before
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After
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概要
両耳のケロイドに対して手術を行いました。10ヶ月ほどでどんどん大きくなってきたということで切除しています。
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Before
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After
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概要
30代 男性のピアス後のケロイド切除症例になります。他院では楔状切除を勧められたとのことで、耳の形状は変えない手術を行っている当院にて手術を受けられました。
治療方法と費用
| 治療方法 | 費用 |
|---|---|
| 局所注射療法 | ケナコルト(トリアムシノロン)注射をケロイドに注射することで、線維芽細胞の増殖と炎症を抑え、膨らみを改善します。 費用 5,500円/0.1cc (直径1cmまで) |
| レーザー治療 | 赤みや色素沈着のある傷跡の場合、当院ではIPLとジェネシスでの光治療を行っております。 間隔をあけながら継続していくことで改善がみられます。 費用 IPL 15,125円/1回(100shot・顔半分くらいの面積) ジェネシス 2,200円/1回(1,000shot・卵大の大きさ) |
| 外科的治療 | 切除縫合する方法です。切除後、形成外科的に縫合することで再発の頻度が少なく、目立たなくします。 手術時間は傷跡の状態や大きさにより異なり、症状により数回に分けての治療が必要です。 1週間後に抜糸を行います。(それまでは患部を水に濡らさないようにしてください) (3mm以下の場合)33,000円 (3.1mm以上の場合)44,000円 |
| その他 | 傷跡の種類により治療方法が異なるため、症例数豊富な医師による治療をおすすめします。 |
「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」との違い
ケロイドとよく似た症状に肥厚性瘢痕があります。これも同じく傷あとが赤く盛り上がる症状ですが、決定的な違いは「元の傷の範囲を越えて広がらない」という点です。肥厚性瘢痕は時間とともに少しずつ白っぽく、平らになっていく傾向がありますが、ケロイドは自然に改善することはほとんどありません。
適切な治療を行わないと、ケロイドはさらに大きくなり、痛みやかゆみだけでなく、ひきつれ(瘢痕拘縮)を起こして動きの妨げになることもあります。
| ケロイド | 肥厚性瘢痕 | |
|---|---|---|
| 範囲 | 傷の範囲を超えて広がる | 傷の範囲内に留まる |
| 症状 | 強いかゆみ、痛み、ひきつれ感、側圧痛 | 症状はケロイドより軽いことが多い |
| 経過 | 自然に治ることは少なく、徐々に大きくなることがある | 時間とともに自然に改善していく傾向がある |
| 好発部位 | 胸、肩、上腕、耳たぶ、下腹部など | 関節部など、皮膚に緊張がかかりやすい部位 |
| 体質・遺伝 | 強い関連がある(ケロイド体質) | 遺伝傾向はないとされる |
| 治療 | 難治性で再発しやすい | ケロイドよりは治療しやすい |
ケロイドの好発部位は?
研究の結果、ケロイドのできやすい部位、できにくい部位があることがわかりました。ケロイドの発生部位の割合としては、胸部前部に733個(48.9%)、肩甲骨部に403個(26.9%)頭頚部で12.1%であり、他に耳介、耳後部、恥骨上部が好発部とされています。一方で、頭皮または前下腿にケロイドは報告されませんでした。以前は発生率が高いと言われていた下腹部は1.9%、膝は0.9%と低いことがわかっています。(手術が原因の場合を除く)。また二重切開法や眉下切開の手術部位である上眼瞼では、ほとんどケロイドを発症することはありません。
参考文献:The relationship between skin stretching/contraction and pathologic scarring: the important role of mechanical forces in keloid generation - PubMed
手術、ケナコルト以外のケロイドの治療法
圧迫・固定療法
シリコンジェルシートやサポーターなどで患部を圧迫し、血流を減らして線維組織の増殖を抑えます。ドラッグストアや、アマゾンなどで取り扱いがあります。
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ジェルシートパッケージ
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シリコンジェルシート
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リザベン(トラニラスト)内服
*当院ではいずれも取り扱いはありません。
リザベンはもともと、蕁麻疹や花粉症などのアレルギー治療薬として使用されていましたが、ケロイドの改善にも効果があるとわかり使用されています。
ケロイドが赤く盛り上がり、かゆみを生じる背景には、傷跡組織での「炎症」と「線維芽細胞の過剰な活動」があります。
リザベンは、これらの活動を活発にする「TGF-β(形質転換増殖因子)」などの化学伝達物質の放出を抑える作用があります。
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内服薬(トラニラスト)
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内服薬(リザベン)
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リザベンの主な作用
線維芽細胞のコラーゲン生成を抑制する。
炎症やかゆみを引き起こす化学伝達物質を抑制する。
これにより、傷跡の「赤み」「かゆみ」「痛み」「盛り上がり」を内側から鎮め、ケロイドの進展を防ぎます。
このような方に最適です
・広範囲、多数のケロイドがある方
・ステロイド注射を避けたい方
・まず簡単なケロイド治療から始めたい方
リザベン、トラニラストの服用方法
1日3回、1回1錠服用です。通常、ケロイド発症後に内服をスタートしますが、自身がケロイド体質とわかっている場合には、手術前から内服することで、術後のケロイドの発症率や程度を抑えることができたというデータがあります。
内服を続けると数ヶ月でケロイドが縮小してくることが期待できます。
論文でのデータ
ケロイドおよび肥厚性瘢痕の患者279例に対して、ヘパリン類似物質軟膏を対照薬としたリザベン投与を、二重盲検比較試験で12週間での改善率を検証した。
全般改善度56.2%(対照薬26.7%)と、対照薬の2倍以上の改善率を示し、統計的に有意な差(p<0.01)が認められました。
そう痒(かゆみ)約50%、自発痛・圧痛約30〜40%改善効果が認められました。約30%傷跡の炎症による赤みを抑える効果が示唆されます。
リザベンの問題点
*リザベン、トラニラストは、メーカーからの出荷制限中です。
原因としては、ジェネリック医薬品製造メーカーの認証不正問題により、問題メーカーが製造を中止したためです。
製造を続けている、残りのメーカーに発注が集中した結果、薬が足りなくなり、混乱を避けるために出荷を停止したため、様々な薬品の供給不足が起こっています。
薬不足に関しては当面改善のめどはなく、当院を含め、多くのクリニック、病院で入手が困難と思われます。
ステロイド含有テープ(エクラープラスター、ドレニゾンテープなど)
ケロイドや肥厚性瘢痕にはることでケロイド治療効果があるものにステロイドテープがあります。ケナコルト注射などと併用し自宅で使用することで、より効果が高くなります。
エクラープラスター(一般名:デプロドンプロピオン酸エステル)
エクラープラスターは比較的新しいタイプのテープ剤で、ドレニゾンテープよりもステロイドのランクが1段階強いのが特徴です。
テープ自体が柔らかく、皮膚への追従性が高いため、関節部など動きのある部位にも比較的貼りやすいとされています。
皮膚にバリアーの機能があるため、ケロイド深部には浸透しにくい。ふくらみが強いケロイドには、ケナコルト注射との組み合わせをお勧めします。

使い方と注意点
患部(ケロイド・肥厚性瘢痕)の大きさに合わせてハサミでカットし、傷跡部分のみを覆うように貼り付けます。
通常、12時間または24時間ごとに新しいテープに貼り替えます。
副作用として、テープ周囲の皮膚のかぶれ(接触皮膚炎)、皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)、毛嚢炎(にきび様のぶつぶつ)などが起こることがあるため、正常な皮膚にはみ出さないよう注意が必要です。
ケナコルト注射を使ったケロイド治療例
ケナコルト注射(局所注射療法)1 (ケナコルト 平均0.2cc使用)
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ケナコルト注射初回
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ケナコルト注射2回目
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ケナコルト注射3回目
20代 女性 デコルテのケロイドの治療経過 (ケナコルト0.2~0.3cc使用)
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ケロイド初診時
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ケナコルト注射3ヶ月経過
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ケナコルト注射6ヶ月経過
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ケナコルト注射1年経過
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ケナコルト注射2年経過
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ケナコルト注射3年経過
池内院長からのコメント
20代女性のデコルテにできたケロイドに対して、ケナコルト(トリアムシノロン)と、Vレーザーを使って治療した症例です。数カ月おきにケナコルト注射と、赤み治療目的にVレーザーを行いましたが、途中レーザー照射が原因で再度大きくなったりを繰り返しながら、ここ1年はほとんど悪化することなく、徐々に平坦化してきています。
ケロイドは皮下で炎症がくすぶり続けるために、瘢痕組織、毛細血管が増殖し、膨らむだけではなく、範囲もどんどん広がっていきます。そのため早期からの治療が必要ですが、ケナコルト注射はダウンタイムがほとんどなく、デコルテのケロイドはケナコルトに対して反応が良好です。
ケロイド・傷跡治療に関するよくある質問
Q. ケロイドの痒みや痛みがひどいのですが、注射ですぐに治まりますか?
A. はい、多くの場合、ケナコルト注射で早期に改善します。ケロイド特有の強い痒みや痛みは炎症が続いているサインです。当院(大阪・心斎橋)で行っている局所注射療法(ケナコルト)はこの炎症を強力に抑える働きがあるため、数回の治療で「痒みがなくなった」「痛みが引いた」と実感される患者様が多くいらっしゃいます。お辛い場合は我慢せずお早めにご相談ください。
Q. 以前、他の病院で身体のケロイドを手術して再発しました。再手術はできますか?
A. 部位によりますが、身体のケロイドの再手術は慎重な判断が必要です。胸や肩、お腹などの身体のケロイドは、手術の刺激で余計に悪化・再発するリスクが高いため、当院では基本的に手術ではなく注射やレーザーによる保存的治療を第一選択としています。一方で耳のピアスケロイドは外科的切除が最も確実な治療となることが多く、他院で治らなかった場合でも切除を行うケースが多数あります。まずは一度診察にお越しください。
Q. 大阪市外から通院したいのですが、通院回数や頻度はどれくらいですか?
A. 治療法によりますが、月に1回程度の通院が目安です。注射治療の場合は1ヶ月に1回程度の間隔で、症状が平らになるまで継続します。耳のケロイド切除手術の場合は、手術日・抜糸のための1週間後・その後の経過観察(1〜3ヶ月後)と数回の通院が必要です。当院は大阪メトロ心斎橋駅から徒歩3分とアクセスが良く、関西近郊(兵庫・京都・奈良など)から通われている患者様も多くいらっしゃいます。
Q. 妊娠中や授乳中でもケロイド治療は受けられますか?
A. 妊娠中の注射・手術・内服薬(リザベン等)の使用は、胎児への安全性を考慮し原則として控えていただいております。授乳中の方は治療法によっては可能な場合もありますので、ご予約時またはカウンセリング時に必ず医師へお申し出ください。
Q. 手術後の傷跡は完全に消えますか?
A. 「完全に消える(魔法のように無くなる)」わけではありませんが、「目立たない傷」にすることは可能です。どのような手術でも切開の跡は残りますが、形成外科的な技術で丁寧に縫合することでシワに馴染ませたり、メイクで隠せる程度まで目立たなくすることを目指します。特に耳のケロイドは、元の大きな塊に比べれば格段にスッキリした状態になります。
デコルテのケロイド切除について
Q. デコルテ(前胸部)のケロイドは手術で切除できますか?
A. 手術は可能ですが、非常に慎重な判断が必要です。「手術単独(切り取るだけ)」の治療は推奨されません。デコルテ(前胸部)は、体の中でも特にケロイドができやすく、かつ治療が難しい部位の一つです。そのため、安易に「切除して縫い合わせるだけ」の手術を行うことは、医学的に推奨されていません。主な理由は、デコルテ特有の「皮膚の緊張(テンション)」と、それに伴う「高い再発リスク」にあります。
Q. なぜデコルテのケロイド切除はリスクが高いのですか?
A. デコルテは呼吸や腕の動きによって常に皮膚が引っ張られる(緊張がかかる)部位です。この「引っ張られる力」が刺激となり、傷跡が再び炎症を起こしやすいため、以下のリスクが非常に高くなります。
- 極めて高い再発率: 手術単独(切除のみ)では再発率が40〜100% と言われています。
- 元のケロイドより大きくなる可能性: 再発した場合、手術前より大きく増悪することがあります。
- 新たな傷跡のケロイド化: デコルテは緊張が強く、新しく作られた傷が再びケロイド化しやすい部位です。
- 一般的な手術合併症: 腫れ、内出血、軽度の痛み、縫合不全、感染など。
手術を検討できるケースとしては、以下のような複合的治療を前提とする場合です。
- 術後照射(電子線など)を併用して再発を抑える
- 内服薬・外用薬・テープ固定による炎症・皮膚伸展の抑制
※保存的治療(ステロイド注射・テープ固定など)が第一選択となることが多いです。
ケロイド治療の補足情報
ケロイドの電子線治療とは?
ケロイドの電子線治療は、主に重症のケロイドを切除する手術後に行われる放射線治療の一種です。軽症・狭い範囲のケロイドや、ケナコルト等に反応しやすい場合には必要ありません。広範囲、重症、何回も再発するケロイドが対象になります。
ケロイドは手術で切除しただけでは非常に再発しやすく(約50〜80%)、その再発を防ぐ目的で、手術直後(翌日〜数日以内)から傷跡に電子線を照射します。
引用:日本医科大学「ケロイド・リンパ浮腫の治療最前線に迫る」
電子線治療の主な特徴
- 目的:ケロイドの再発予防が主な目的です。
- 仕組み:電子線(放射線の一種)を照射し、ケロイドの原因となる線維芽細胞の異常増殖を抑えます。
- 安全性:電子線はエネルギーが皮膚表面に集中し、深部(内臓・骨)に届きにくいため、皮膚表面の病変に適した治療法とされています。
- 治療の流れ:通常は手術の翌日など早期から開始し、1回の照射は数分で痛みはありません。これを数日間(例:1日1回×3〜5日)続け、必要な総線量を照射します。
電子線治療の効果(再発予防)
手術(切除)と電子線治療を組み合わせることで、手術単独よりもケロイドの再発率を大きく下げることができます。
一般に、手術のみの再発率が50%以上である一方、術後に電子線治療を行うと再発率は10〜30%程度まで低下すると報告されています。
ただし再発率は部位によって異なり、耳・顔など皮膚の緊張が少ない部位は再発しにくく、胸・肩・お腹(帝王切開の傷など)は再発率がやや高い傾向があります。
費用(目安)
ケロイドの治療(手術+術後の電子線照射)は健康保険適用です。主に「手術費用」「放射線治療費用」がかかります。
- 手術費用(例):ケロイドの大きさ・部位・手術方法で異なります。例として、耳のケロイド摘出術(皮弁作成あり)は3割負担で約30,000〜40,000円程度となる場合があります。
- 電子線治療費用:照射1回あたりで計算(診療報酬点数:体外照射 840点など)。仮に1回8,400円(10割)とすると、3割負担で約2,500円程度。これを数回(例:4〜5回)照射します。
※あくまで目安です。病院の規模、診察料、薬代、照射計画費などで変動するため、正確な金額は受診先にご確認ください。
大阪でケロイドの電子線治療を行っている病院
ケロイドの電子線治療は、形成外科(切除)と放射線治療科(照射)の両方が揃った大学病院・大規模病院で行われることが一般的です。大阪府内で対応している、あるいは可能性が高い医療機関として以下があります。
- 関西医科大学附属病院(枚方市)
- 国立病院機構 大阪医療センター(大阪市中央区)
- 大阪公立大学医学部附属病院(大阪市阿倍野区)
- 大阪医科薬科大学病院(高槻市)
- 北野病院(大阪市北区)
受診時の注意
治療方針はケロイドの状態によって異なります。まずは上記のような病院の形成外科を受診し、ご自身が手術+電子線治療の適応となるか専門医へ相談してください。
監修医情報
- 医師
- 医療法人秀晄会コムロ美容外科(大阪・心斎橋)
院長 池内 秀行(いけうち ひでゆき)
- 経歴
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- 1996年(平成8年) 神戸大学医学部卒業
- 1996年~ 神戸大学医学部付属病院麻酔科入局
- 1997年~ 兵庫県立こども病院麻酔科入局
- 2001年~ コムロ美容外科入職
- 2006年4月~ 心斎橋コムロ美容外科クリニック 院長就任
- 2020年3月~ 医療法人秀晄会 コムロ美容外科へ医療法人化
- 資格
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- 日本麻酔科学会会員
- 麻酔科標榜医
- 日本美容外科学会(JSAS)会員
- 美容外科(JSAS)専門医
- アラガンボトックスビスタ認定医
- アラガンジュビダーム認定医

